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Essay エッセイ

あなたのためよ

あなたのためよ

「あなたのためよ」という言葉は、実は自分のために言っている。

 相手を自分の思うようにコントロールしたいとき。

 相手に尽くしている自分を肯定したいとき。

 相手の名誉や功績を自分のものにしたいとき。 

 相手をさらに自分の好みにしたいとき。

 相手に自分の描いた道を歩かせたいとき。

 相手がそうしてくれないと、自分が困るとき。

 相手を心配することから、自分が解放されたいとき。

 相手にもっと、自分を愛してほしいとき。

「あなたのために言ってるのよ」と口から出たときは、それが本当に相手のためなのかどうか、考えてみる。その言葉がめぐりめぐって自分に向いていると気づくのに、時間はかからない。与えている、与えていると思っても、実はもらっている。

 あなたのため、は、自分のため。心から相手のためを思っているのなら、わざわざそれを声高に説明する必要もないのだから。

Photo by MUKAI MUNETOSHI

Tags:

あなた

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