梅田みか オフィシャルサイト
Essay エッセイ
似て非なるもの
モテたいのと、いい恋がしたいのって、似ているようで、まったく違うことだ。
「モテればいい恋ができる」わけでもないし、「モテないからいい恋ができない」わけでもない。
「モテたい」人の多くは、「好きなタイプの人だけにモテる」ことを想像しているが、実際は自分の好みではない人からアプローチされるケースのほうが多い。たくさんの異性の心をとらえるということは、そういうことなのだ。
常に「モテたい」人のお手本となるのは、その時代の人気アイドルやタレントだ。万人受けするファッションやヘアメイクを徹底し、常に異性の目を意識した仕草や言動を心がける。ただ、興味のない人からすると「みんな同じに見える」が、それを欠点ととるか安心感ととるかでその後の恋愛観も大きく変わってくる。
一方、いい恋をするというのは、「たったひとりの人」を見つけるということだ。それには万人受けする好感度より、ただひとりの人に「どうしてもあなたでなければだめだ」と思わせるオリジナルの魅力が大事になってくる。
相手のいろいろな面を知り、自分を知り、さまざまな局面に一喜一憂しながらお互いの理解と愛情を深めていく。それは「モテる」という浮っついた世界とは程遠い、地味で落ち着いた過程だ。「モテ」そのものが「恋」だと思っているうちは、このギャップに耐えられず、短い恋をくりかえす。
「モテる」なかから「いい恋」を探すのが、いちばん効率のいいやり方のように思えるが、なかなかそうすんなりとはいかない。モテているときは自分も相手も、本当の姿がよく見えていないから、チャンスも多いが失敗も多いのだ。
いわゆる「モテる人」がかならずしも幸せな恋をしていないのはこのせいだ。それよりも「いい恋をしているとモテる」という逆説的恋愛マジックをねらったほうが、幸福感は大きいかもしれない。
あなたは今、モテたいのか、いい恋がしたいのか。どちらを望んでいるのかをしっかり見極めると、あなたの恋の行方が見えてくるのではないだろうか。
Photo by MUKAI MUNETOSHI
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モテたい, 恋