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Essay エッセイ

運命の人はひとりじゃない

運命の人はひとりじゃない

 運命の人に出会う。それはめったにない奇跡のような瞬間ではなく、ごくふつうの日常の中で起こるできごとだ。誰かを好きになったり、信頼を抱いたり、この人とずっと一緒にいたいと思ったりするのに、そう時間はかからない。

 運命の恋とは、その名通り、その後の人生のある部分を決定づけるような恋だ。

 今までの価値観や、生き方や考え方を揺さぶるようなうねりを持っている恋。強い衝撃とともに惹かれあい、それ以前の自分が消滅してしまったように思える恋。

 今までに感じたことのないほどの幸福や安らぎを得ることができ、自分はこの人に会うために生まれてきたのだと確信する恋。

 一生添い遂げる相手だけが運命の人なのではない。運命の人と結ばれないこともある。悲しい別れを迎えることもある。ずっとあとになるまで気づかないこともある。それでも、逃した魚は大きくない。ちゃんと自分を見つめ、自身の道を歩いて入れば、かならずもっと素晴らしい運命の人に出会える。

 そもそも、運命の人はたったひとりなんて誰が決めたのだろう? 運命の人は、その人に必要なだけ、何人でも現れるもの。だからといって、すべての恋が運命の恋かというと、そんなこともない。運命の恋は、その人の成長に合わせて、絶妙のタイミングで訪れる特別な恋なのだ。

 そして運命の人は、まるで運命の人でないような格好をしていたり、とても条件のいい相手のすぐ後に隠れていたりする。大切な出会いを見過ごさないためには、頭であれこれ考えるよりも、心の声に耳を澄ませること。運命の出会いは今日、この次の瞬間かもしれない。

Photo by MUKAI MUNETOSHI

Tags:

タイミング, 出会い, 奇跡, 好き, 安らぎ, 幸福, 恋, 運命

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