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梅田みか オフィシャルサイト
Essay エッセイ
April
四月。
桜の花が咲き、強い風が吹き、花びらが舞う。きりりとした冬の空気とふんわりした春の空気が行き交う。何かをはじめるのに最適な季節だと誰もが言う。
でも、わたしは子供のころから四月がきらいだった。新しい学校、新しいクラス、新しい友達、新しい先生、新しい習いごと。新しい環境に自分をおくことが苦手だった。どんな場所も即座に自分のものにしてしまう人がうらやましかった。わたしも、あんなふうに笑えたらいいのにと思っていた。
もともと虚弱体質のわたしには三寒四温の日々を乗り越えるのがひと苦労で、今も春は好きな季節ではない。春になるとワクワクする、なんて人の気持ちは一生わからないと思っていた。
けれど、今年はいつもの春とは少し違って、わたしにも心躍ることがある。書きたいことがあり、会いたい人がいて、見たいものや行きたいところがある。今なら春を少しずつ、好きになれそうな気がする。
四月。
何かをはじめるのに最適な季節だと誰もが言う。わたしも新しいことをはじめてみよう。
Photo by MUKAI MUNETOSHI
Tags:
季節, 学校, 春, 桜, 習い事, 花
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